せいうちセキュリティ

研究論文からサイバー犯罪とセキュリティを考えてみる

【ブログ考察】サイバーリスクマネジメントは時間との戦いである 〜MTTRを分解しよう〜

今回はこちら。最近はサイバーセキュリティの文脈でもよく聞くようになった「MTTD(平均検知時間)」「MTTR(平均復旧期間)」について、いつもよりちょっとだけ掘り下げて考えてみます。Sciencelogic社のブログがとってもいい感じでした。実は奥が深いぜMTT…

【論文考察】サイバーセキュリティの情報共有を成功させるには

今回はこちら。サイバーセキュリティにおける「集団行動(=Collective Action)がテーマです。オープンソースの脅威インテリジェンスプラットフォーム(=MISP)やGitHubなどが有名です。脆弱性だとZero Day Initiativeなんかもありますね。人間の自発性に…

【論文考察】保険会社はサイバーリスクの価格をどう算出しているのか

今回はこちら。ここ数年で話題にあがることが増えてきた「サイバー保険」に関する研究です。保険というビジネスモデルを考えた人はマジで天才だと思います。そんな天才たちの功績からサイバーリスクの価格付けロジックを学びましょう。 Journal of Cybersecu…

【論文考察】超重要インフラをサイバー攻撃から守るための唯一の策は何か

今回はこちら。重要インフラセキュリティの研究機関の雄、アイダホ国立研究所(INL: Idaho National Laboratory)からの論文です。論文と言っても「ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)」掲載のものなので、学術的な研究成果の発表というよりは、実務家向…

【論文考察】ICS/OT環境へのサイバー攻撃でもITを含めて考えないと意味がない

今回はこちら。2022年10月にSANS Instituteから発行された調査論文です。産業制御システム(ICS:Industrial Control System)および制御/運用技術(OT:Operational Technology)のサイバーセキュリティがテーマです。 Dean Parsons, SANS Analyst Program …

【論文考察】重要インフラ関連のセキュリティアラート/アドバイザリーの傾向から何がわかるか

今回の論文はこちら。2022年3月発行の International Journal of Cybersecurity Intelligence & Cybercrime から、重要インフラのサイバーセキュリティに関する考察です。CISAが出しているアラートやアドバイザリーから知見を得ようという内容です。 vc.brid…

【犯罪学シリーズ③】どうやって犯罪を計測するのか

犯罪学シリーズ第三弾です。参考文献は引き続きこちらの本。しばらくこの本とお付き合いください。 サイエンス超簡潔講座 犯罪学 | ティム・ニューバーン, 岡邊 健 |本 | 通販 | Amazon 「どのくらい犯罪が起きているのか」は万国共通の問いです。初めて旅行…

【犯罪学シリーズ②】誰が犯罪を行うのか

犯罪学シリーズ第二弾です。参考文献は引き続きこちらの本。 サイエンス超簡潔講座 犯罪学 | ティム・ニューバーン, 岡邊 健 |本 | 通販 | Amazon 「誰が犯罪を行うのか?」というのも難しい問いですが、犯罪学で一定の成果が挙げれれている領域でもあります…

【犯罪学シリーズ①】意外と奥深い「犯罪」の定義

いちおう大学で犯罪学を勉強していたので、犯罪学の観点でサイバーセキュリティを考えてみようシリーズをやってみようと思います。参考文献は日本語で出ているこちらの本。真面目ないい本です。 サイエンス超簡潔講座 犯罪学 | ティム・ニューバーン, 岡邊 …

【論文考察】ソーシャルエンジニアリングがなくならないのはなぜか

今回の論文はコチラ。1か月くらい前のニュースで「Amazonがダークパターンで提訴された」と知り、数年前にほんのりと流行った『ダークパターン』を調べてみました。そしたらこの論文に行き着いたので紹介します。ここからわかることをソーシャルエンジニアリ…

【ブログ考察】”Best-of-Breed” は今の時代の最善策なのか

今回のテーマは「セキュリティツールはベスト・オブ・ブリードで選ぶべきか否か」です。紹介するのは「CISO Mindmap 2023」です。サイバーセキュリティ界隈では有名なものなので知っている人も多いかも。 rafeeqrehman.com どんな人におすすめ? どんな内容…

【論文考察】CVSSは誤用されている

今回は、サイバーセキュリティ研究のトップ大学であるカーネギーメロン大学 Software Engineering Institute から、2018年12月発表の有名な論文を取り上げます。 「CVSSは広く誤用されている(原文:The Common Vulnerability Scoring System (CVSS) is wide…

【論文考察】サイバーテロへの恐怖と報道の関連性

今回の論文はコチラ。2023年3月発行のInternational Journal of Cybersecurity Intelligence and Cybercrime からの論文です。サイバーテロへの恐怖と報道の関連性を調べています。 vc.bridgew.edu Bastug, M. F., Onat, I., Guler, A. (2023). Internationa…

【論文考察】オンライン詐欺に引っかかりやすいのは高齢者なのか

今回の論文はこちら。サイバーセキュリティ研究ではなく、犯罪学の一分野としてのサイバー犯罪被害の研究です。テーマは「高齢者とオンライン詐欺」。超高齢化社会を迎える日本としては避けて通れないテーマです。 Parti, K. (2022). “Elder Scam” Risk Prof…

【論文考察】サイバー犯罪でも容疑者プロファイリングは可能か

今回の論文はコチラ。2023年3月発行のInternational Journal of Cybersecurity Intelligence and Cybercrime からの論文です。サイバー犯罪から犯罪者をプロファイリングしようという試み。面白い。 vc.bridgew.edu Gerstenfeld, J. (2023). Understanding t…

【コラム】セキュリティリサーチャーと対話ができるマーケターが必要な理由

季節外れに暑かった5月中旬の話です。 約三か月の育休から復職してオフィスに行ったら、知り合いのAさんにばったり会って久しぶりに話をしました。そのときに、Aさんから聞かれたことがとても印象に残っているので、そのことを書いてみようと思います。 もく…

【論文考察】「レジリエンスとは何か」ではなくて「レジリエンスには何が必要か」を議論しよう

今回はこの論文を選んでみました。2023年4月発行のInternational Journal of Cybersecurity Intelligence and Cybercrime からの論文です。個人の「サイバーレジリエンス」に焦点を当てた研究です。今回の論文は、その結果よりも過程に注目です。 どんな人に…

【論文考察】米国のサイバー防衛戦略はどう進化してきたか

今回の論文はこちら。民間組織の情報セキュリティ部門には馴染みのない「国防系」のサイバーです。 Erica D Lonergan, Jacquelyn Schneider Journal of Cybersecurity, Volume 9, Issue 1, 2023, tyad006 もくじ どんな人におすすめ? どんな内容? 注目ポイ…

【論文考察】なぜ「フェイクニュース」という言葉を使わないほうがいいのか

今回は、ユネスコが2018年に発効したフェイクニュースに関するハンドブックから一部を取り上げます。ChatGPTが大衆の注目を集めています。このタイミングでフェイクニュースに対する理解を一段階深めておきましょう。 "Thinking about ‘information disorder…

【論文考察】サイバーインシデント被害額の「平均値」に意味はあるのか

今回の論文はコチラ。2023年発行の Journal of Cybersecurity からの論文です。 Pavel V Shevchenko, Jiwook Jang, Matteo Malavasi, Gareth W Peters, Georgy Sofronov, Stefan Trück Journal of Cybersecurity, Volume 9, Issue 1, 2023 どんな人におすす…

【論文考察】経営層に自社のサイバーリスクをどう分類して説明するか

今回の論文はこちら。2018年10月16日公開の論文ですが、コロナ禍を経て重みが増した気がします。 Ioannis Agrafiotis, Jason R C Nurse, Michael Goldsmith, Sadie Creese, David UptonJournal of Cybersecurity, Volume 4, Issue 1, 2018 もくじ どんな人に…